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色彩のユニバーサルデザインとは

先週末、千葉県建築士会の主催で開かれたカラーユニバーサルデザインのセミナーに参加してきました。

身体に何らかの障害を持つ人や高齢者が社会生活を送る上で障壁となる物理的要因を取り除く、というバリアフリーの考えを一歩進めて、障害の有る無し、年齢性別に関わらず全ての利用者に共通の利便性を付与しておく、というデザインの考え方をユニバーサルデザインとして定義することができるわけですが、
カラーユニバーサルデザインとは、外見上は障害者で有る事が判りづらく、故に一般色覚者にとっては認識することが難しい色覚障害者が直面する危険性を、ユニバーサルデザインの考え方で予め回避しておこうという考え方のようです。
色覚障害(色弱)の存在については公共サインや展示施設のグラフィックデザインなどの分野では暫く前から「色覚バリアフリー」の名で問題提起されており、私自身も朧げに知ってはいましたが、今回、始めて当事者の方の話を聞く機会を得、一般色覚者(非色弱者)である自分達には気がつかない危険が街の至る所に存在しているという事実に驚かされました。

生まれつき色の識別に対する何らかの障害を持っている所謂色弱と言われる方々は思ったより多く存在しており、統計によると日本人女性の500人に一人。男性に至っては20人に一人の割合で存在するのだそうです。それならば小中高校の1クラスに1名は色弱という事になる。これは無視出来ない数値です。
加えて白内障、緑内障といった目の病気を抱えている人、さらに加齢によって色の見え方が変化している高齢者等を加えればバリアフリー化を必要としている人たちは相当な数になる筈です。
さらに驚いた事には一般色覚者の間でも色の感覚は結構異なっていて、いくつかのグループに分ける事が出来るのだとか。
こうなると自分が見ている色が果たして他の人にも同じ様に見えて居るのかすら判らなくなってしまいますね。

で、セミナーでは実例写真や講師の笑うに笑えない体験談、特殊なフィルターによるシミュレーション実験等を通して色弱に対する理解を喚起する内容となっています。
並び合う色同士のコントラストを明確にする。色相のみの違いに頼らない。文字を併用する、といった基本的な対策は考えてみれば誰にとっても有効で、結局のところ色覚障害者にやさしい表示類は一般色覚者にとってもやさしい訳で、故に「カラーユニバーサルデザイン」なのでした。

以下は今回の講師が理事を務める
NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構 CUDO
http://www.cudo.jp/
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プロフィール

よしおがわ

Author:よしおがわ
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一級建築士
インテリアプランナー
商業施設士
応急危険度判定士
既存建築物耐震診断士(木造)
震災建築物被災度判定技術者

2009年より個人事業主として活動を開始

インターアクトデザイン室 
一級建築士事務所 代表

所属団体:
千葉県建築士会
商業施設士会
NPO法人地域支援センター

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